とんがりギャルゲー紀行 第122回:四川省 女子寮編

 X68000パーフェクトカタログの作業がひと段落して、やっと少し遊べる時間が取れるようになりました。記事を書くためでなく、自由に遊べる余裕は普段から欲しいものですね。
 さて、今回は忙しくても短い時間でさくっと遊べるタイプのゲームを選んでみました。

四川省 女子寮編

 リリース時期は1989年。開発はタムテックス、発売はアイレム。本サイトの別コーナー『パンフレットで見るアーケード探訪』でチラシが見られます。

 時間内にゲームをクリアするとご褒美イラストが楽しめるという、古式ゆかしいアダルトゲームの四川省版。ちなみに四川省というのは並んだ麻雀牌から同じ牌を線でつなぎ、線の折れる回数が2回以内だと消すことができるルールのパズルゲームです。

 四川省のアーケードゲームは数少ないので、本作の存在がゲーセンにおける四川省のえっちゲーム率を引き上げております。その点で本作はとがっているというわけ。
 ゲーセンの四川省は本作を含めて2つしか見つけられなかったので、他になかった場合ゲーセン四川省の半分はえっちな成分でできていることになります。すごい、麻雀でもここまでじゃあないぜ。

 麻雀ゲームはアーケードでも家庭用でもトンデモ設定やらなにやらが飛び出す魔境ぶりなので(真っ当な本格派麻雀もあるけど)、脱衣率はそれほど高くありません。
 脱衣なしで面白いものだと、敵に牌交換忍者を差し向けていかさまする戦国麻雀ゲームなどがありますね。戦国時代で麻雀をするゲームはいくつもありますが、牌交換忍者って唯一無二のワードが特に好き。敵地へ忍んでいって雀牌をすすっと差し替える、それを生業とする人がいる世界だと考えると実にシュールでたまりません。

 まあそれはさておいて、今回のゲームに話を戻しましょうか。

 脱衣姿を見せてくれる女の子たちは女子寮に暮らしている設定らしく、まず4人の寮生が相手となります。女子寮といっても特定の学園や会社に所属する仲間ではないようで、年齢も職業もバラバラです。ここでは女の子を任意順で選ぶことができ、その後に副寮長、寮長との対戦となります。寮長に負けると副寮長との対戦に戻されてしまうので、ラストバトルはストレート勝ちせねばなりません。

 ご褒美グラフィックはこんな感じ。リアル風に描かれた女性たちのグラフィックはパンチが弱いかな?(リアル系が好きな人には響くのかも)
 1989年のゲームならこんなものかとも思いましたが、脱衣アニメで人気を集めた『スーパーリアル麻雀PⅡ』が1987年に登場しているので、恐らく当時であってもそれほどお客さんの目を惹けていなかったのではないでしょうか。
 ただ肌の陰影の付け方が綺麗で、女体の柔らかな質感が表現されているところはいいと思います。なのでパンチが弱いとは思っても、グラフィックの出来を悪いとは思いません。本当に酷いグラフィックは人類の骨格を逸脱していますからね。
 初めてプレイした時は2連続でうんこ座りのご褒美CGが表示されたためにうんこ座り特化ゲームではあるまいなと警戒しましたが、ポージングは一応さまざま用意されていることを確認しました。スクワットは太ももに効いてもハートには効きませんから、うんこ座り特化でなくて安心いたしました。というわけで、絵柄が気に入ればそれなりに楽しめると思います。

 ちなみに本作では合成音声によるボイスが随所で使われていて、ゲーム中にちょっと棒読みなボイスで「早く選んでぇ」「いい匂いするでしょう?」などと言われます。
 匂いは画面越しじゃわかりませんが棒読みなのはわかってしまうので、グラフィックと合わせてちょっと野暮ったい雰囲気。といっても、当時の技術力による合成音声なのでこれは仕方のないことでしょう。

 ゲームシステムはシンプルなもの。特定の牌を消すとタイムが増えるユーザーフレンドリーなおまけはあるくらいで、ルールにアレンジはありません。四川省を知っていれば遊べます。

 本作の特徴はやはり初めに書いたとおり四川省×セクシーという珍しい組み合わせでしょうか。この組み合わせがゲームセンターに登場したのは本作が恐らく初なので。といっても、新鮮さがあったかというと確信が持てません。
 たとえば『SM調教師「瞳」』は“スーパーファミコンでアダルトゲーム”というギャップで目を引くという一点に賭けたことで注目を集めることに成功したゲームですが、四川省とセクシーを掛け合わせてもそれほど意外性はないように思います。
 『瞳』が生み出したギャップは、スーパーファミコンに「一般家庭で、家族で遊ぶゲーム機」という健全なイメージがついていたからこそのもの。
 一方で四川省が健全か不健全かと問われると答えに窮しますよね。ゲームセンターで遊べる四川省の数も少なければ、脱衣が組み合わさることも珍しいのですが、特にギャップを感じさせるほどでもないというか。『四川省 女子寮編』がいまいちな知名度なのはこの点も原因かもしれません。

 脱衣要素はいまひとつでも、ゲーム部分についてはきちんと作られています。消さなくてはならない牌の数が増えていくからというだけでなく、牌を消す順をきちんと考えないとクリアできない配置が後々出てくるので、恐らくは開発側も序盤と後半の難易度の変化を意識して問題を作っているのではないかと思われます。
 『四川省 女子寮編』は脱衣を目当てにするといまひとつではあるものの、四川省自体を遊びたい人にはなかなか歯ごたえあるゲームとして楽しめるのではないでしょうか。

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